2010-05-27

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今の東京で二、三日あちこち動いたら、乗物だけで参ってしまう。すし詰めどころか電車は人間でふくらみ、鈴なりにぶら下がって走る超満員で、その中でもみつもまれつ、よろめいたり転がったりして騒いでいる人間を見ると―そしてその乗物を発明したのも同じ人間であることを考えると、涙の出るような滑稽さを感じざるを得ない。
(s20.10.28)

山田風太郎「戦中派不戦日記」

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