2010-05-23

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よく動くはしこそうな眼が、日本人にはめずらしい大胆な表情をつくりあげているのですが、せっかくの生気も濃いアイ・シャドーのおかげでだいなしになり、ブゥルヴァルを流して歩く高等内侍の顔の中にある、あのどこか汚穢な感じのまじった一種特別な美しさになっています。ゼーゼマンの主型Schalk・・・流動的娼婦型という手に負えない種型をあらわしかけているのです。

久生十蘭「久生十蘭集 ハムレット」

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