2010-06-06

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官軍入城後、いっとき西郷から江戸の治安をまかされた勝(海舟)が、「なあに、どうせ五十人や六十人の囚徒を斬ったからといって、世に人殺しや盗賊の種がつきるものでもあるまいと思って、みなひと思いに放免してやったよ」と一斉釈放してしまったのだ。
この勝の行為には、彼らしい放胆さとともに、それ以上に彼らしい毒気が感じられる。

山田風太郎「明治断頭台」

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