2010-07-07

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「救ってもらう権利が、私にも多少あるでしょうか。自分ではあると思っています。今の博物学者の中で、私ほど外国に名前の知れた人間はそうたくさんありません。私は本能の世界に、ほとんどだれも気がつかなかったような新しい鉱脈を開きました。(中略)それなのに、私はまごまごすると絶望と貧困のうちにのたれ死もしかねないのです。その日その日のパンの心配で悩まされずに、力の残っているかぎり、こういう楽しい研究を続けられたら、どんなにうれしいことでしょう。」(ファーブル)

山田風太郎「人間臨終図巻Ⅲ」

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