2010-08-20

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人生が認識からは何ものをも得させず、遠いつかのまの感覚の喜びによって、あたかも夜の広野の一点の焚火の火明りが、万斛(ばんこく)の闇を打ち砕くように、少くとも火のあるあいだ、生きることの闇を崩壊させるということなのだ。

三島由紀夫「豊饒の海・天人五衰」

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