2010-08-23

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世界がなかなか崩壊しないということこそ、その表面をスケーターのように滑走して生きては死んでゆく人間にとっては、ゆるがせにできない問題だった。氷が割れるとわかっていたら、誰が滑るだろう。また絶対に割れないとわかっていたら、他人が失墜することのたのしみは失われるだろう。問題は自分が滑っているあいだ、割れるか割れないかというだけのこと・・・(略)

三島由紀夫「豊饒の海・天人五衰」

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