Honnobassui
yonda hon de kininatta tokoro memo
2010-10-30
514
何よりも忘れてならないことは、彼が真正の科学者だったことである。その心の厳しさと広さをもって、彼は人性の醜悪を解するとともに、人性の高貴さをも逸しなかった。彼がいわゆる実験小説に対蹠していたことは、丁度わが国で最も深く正しく科学精神をつかんでいた鴎外の芸術が、自然主義一派の文学と鋭く対立した事情に酷似していはしまいか。科学上の知識は「常に私を用心深くさせた」とは、チェーホフの心からなる告白である。
神西清「チェーホフの短篇に就いて」
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