2010-11-16

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しかし彼の心は、小さな暗い告解場、司祭の声、桃いろのガラスのなかで燃える明るい灯の前や彫像の下で永遠の苦痛からまぬがれようとして待っている人々、などに淡い郷愁を感じ、力をそがれてしまうのだった。今までは、永遠の苦痛はそれほど大きな意味を持たなかった。今、それは無限につづく剃刀のめった切りを意味している。

グレアム・グリーン『ブライトン・ロック』

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