2011-12-11

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太宰治氏「斜陽」第三回も感銘深く読みました。滅亡の抒事詩に近く、見事な芸術的完成が予見されます。しかしまだ予見されるにとどまつてをります。完成(完璧さ)の一歩手前で崩れてしまひさうな太宰氏一流の妙な不安がまだこびりついてゐます。太宰氏の文学はけつして完璧にならないものなのでございませう。しかし抒事詩は絶対に完璧であらねばなりません。「斜陽」から、こんな無意味な感想を抱いたりいたしました。

『川端康成・三島由紀夫 往復書簡』
(S22.10.8 三島→川端)

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