2011-12-21

629

ますますバカなことを言ふとお笑いでせうが、小生が怖れるのは死ではなくて、死後の家族の名誉です。小生にもしものことがあつたら、早速そのことで世間は牙をむき出し、小生のアラをひろひ出し、不名誉でメチヤクチヤにしてしまふやうに思はれるのです。生きてゐる自分が笑はれるのは平気ですが、死後、子供たちが笑はれるのは耐へられません。それを護つて下さるのは川端さんだけだと、今からひたすら頼りにさせていただいてをります。

『川端康成・三島由紀夫 往復書簡』
(S44.8.4 三島→川端)

0 件のコメント:

コメントを投稿