2012-02-27

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……人の世の恋人たちも、それとは知らずに、これとひどく似たことをしている。彼らは、幻影を「理想」と呼んでいる。ところが、彼らの「理想」は、けっきょく、人類の体験したものの単なる影、有機的な記憶のまぼろしにすぎない。いまこの世に生きることは、ほとんどそれとかかわりがない。
(「草ひばり」)

『小泉八雲集』上田和夫訳

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