2010-05-28

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明らかに、進駐軍を見得る土地の日本の民衆はアメリカ兵に参りつつある。軍規の厳正なこと、機械化の大規模なこと、物資の潤沢なことよりも、アメリカ兵の明朗なことと親切なことあっさりしていることに参りつつある。
吾々は、この民衆を嘲笑したい。ただ時勢のままに動く愚衆の波を笑いたい。――
しかし笑うことは出来ない。この愚衆こそ、すなわち日本人そのものだからである。
(s20.12.1)

山田風太郎「戦中派不戦日記」

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