車庫の屋根で、佳織とミカちゃんがおとなしくママゴトをして遊んでいると、知樹がひとりブラリと帰って来てこれを見つけ、上っていってたちまちこれを爆撃しはじめる。
佳織、必死の叫びをあげ、ウラミにみちてにらみつけるが、知樹はいよいよ乱暴を倍加する。ついに佳織らあきらめてフン然悄然と道具を片づけ退却する。
余は二階でこれを眺めている。知樹これに気づき、余がどっちに味方するかわからんものだから、どっちつかずの顔をしていたが、ついに余に向って歯をむき出してニヤリとしてどこかへいってしまう。「悪の愉しみ」と「悪の悲しみ」がその顔にある。
山田風太郎「育児日記」
0 件のコメント:
コメントを投稿