2010-08-18

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しかし、革命に参加して、その成功したのちに襲われる幻滅と絶望の、月の裏側をつらつら眺めてしまったような感懐は、たとえそこで死を求めても、その死をば、死にまさる荒涼からのがれるだけのことにしてしまうかもしれない。又そこではどんなに真摯な死も、ただものうい革命の午後に起った、病理学的な自殺と思われることを避けがたい。

三島由紀夫「豊饒の海・暁の寺」

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