マリリン あたしがどんな女か、マリリン・モンローは本当にどんな女か、そう人に訊かれたら――ねえ、何て答えるつもりなのって訊いたの覚えてる?(彼女の口調はからかうようであり、馬鹿にするようでもあったが、真剣味があった。本音を訊きたかったのだ。)あたしはとんまだって言うんでしょうね。お菓子のバナナ・スプリットみたいだって。
TC 当然ね。だけど、それにつけたして・・・・・・。(あたりは暗くなってきた。彼女は空や雲とともに闇にまぎれ、空や雲よりも遠ざかっていくように見えた。私はカモメの鳴き声よりも大きな声を出して彼女を呼び戻したかった。マリリン!ねえ、マリリン、何もかもがなんで決まりきったように消えてなくなるのだろうか。人生ってなんでこんなにいまいましく、くだらないのだろうか、と)
TC えーとね・・・・・・
マリリン 聞こえないわよ。
TC えーとね、きみはうつくしい子供だとね。
トルーマン・カポーティ「カメレオンのための音楽」
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