尖塔が天を指して高く、風琴が楽を奏して幽かな所だけが神の教会ではないのである。孝子が家計の貧を補うために寒夜に者を鬻(ひさ)ぐところ、これも神の教会ではないのか。貞婦が良人の病いを苦慮し、東天未だ白まないうちに社壇に願をこめるところ、これも神の教会ではないのか。人があって世の誤解するところとなり、攻撃が四方に起こる時、友人があって独り立って彼を弁護するところ、これも神の教会ではないのか。ああ神の教会をもって白壁または赤瓦の内にあるものと思った私の愚かさよ。神の宇宙は広いように広く、善人の多いように多い。(9/1)
内村鑑三「一日一生」
0 件のコメント:
コメントを投稿