2010-11-15

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しかも<少年>はその持主を憎んでいた。名前も顔も知らなかったけれども、しかし<少年>はその男を、人形を、乳母車を、壊れた木馬を憎んでいた。小さな芽生えが、無知とおなじように彼を苛立たせる。彼はじぶんが飢え、弱り、そしてふるえているのを感じた。彼は苦痛と恐怖とを経験させられていた。

グレアム・グリーン『ブライトン・ロック』

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