2011-09-24

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「ほんに、きてほしいお客はこず、きてほしくない客はくるもの……」
と、薫はつぶやいて、紙で蛙を折っている。この蛙の背に名をかいて、人目のかからないところへ針でさしとめておくと、きっとその人がくるというのは吉原の遊女の迷信だった。
(「傾城将棋」)

山田風太郎『女人国(ありんすこく)伝奇』

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