「一人の贅沢な人間の欲望を満足させるためには、千人の労苦を必要としているのである。労働によって、彼らの文明から快楽を提供されている連中が、労働者のおかげであることを忘れて、あたかも彼らを、同じ人間でないかのように扱っているのは、まことに奇怪といわねばならない。しかし、西洋流の解釈にしたがえば、文明は、大きな欲望をもつ人たちを満足させるためのものにすぎない。大衆にとって、なんの利益もなく、ただ野心家たちが、その目的を果すために競う制度にすぎない。(略)そうした制度の下における日本の将来は、まことに憂慮すべきものがある。」(ある日本人の著述家の西洋の事物についての意見より)
(「日本人の微笑)」
『小泉八雲集』上田和夫訳
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