2012-04-19

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白波がしだいに高まってくる。その動きに、わたしはすっかり心を奪われてしまった。そうした動きに、なんとすばらしい複雑さ――が、また、なんと永遠に新鮮なことであろうか!その五分を、誰がじゅうぶんに描きうるだろうか。二つの波が、まったく同じように砕けるのを見た人間が、かつてこの世にあっただろうか。
(「焼津にて)」

『小泉八雲集』上田和夫訳

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