2012-06-29

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かれは青海亀や玳瑁(たいまい)を愛していた。優雅で、速力があり、たいした値打ちをもっていたからだ。が、この大きいばかりで愚鈍な赤海亀にたいしては、親しみぶかい軽侮を感じていた。こいつは黄色い鎧をかぶり、雌に不器用ないいよりかたをする。そして、眼を閉じて、いかにも楽しそうにかつおのえぼしをぱくついたりするのだ。

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