Honnobassui
yonda hon de kininatta tokoro memo
2010-08-24
407
白雪の絶巓の正確な予感の中にいる人間の肉体の澄明な美しさ。不吉な純粋さ。侮蔑の涼しさ。
そのとき人間の美と、羚羊(かもしか)の美とがもののみごとに一致する。けだかく角を立て、拒絶に潤んだうあさしげな眼差で、白い斑(ふ)のまじった流麗な前肢の蹄をこころもち浮かせて。かがやく山頂の雲を頭(かしら)に戴いて。訣別の矜(ほこ)りに充ちて。
三島由紀夫「豊饒の海・天人五衰」
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