Honnobassui
yonda hon de kininatta tokoro memo
2010-10-29
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アリョーシャは部屋の隅の方に坐って、いかにも恐ろしくて堪らない様子で、自分が瞞された次第をソーニャに物語っていた。彼はぶるぶると身震いがとまらないで、吃ったり泣いたりした。こんな粗々しい仕方で嘘と顔を突き合わせたのは生まれてはじめてであった。甘い梨や、パイや、高い時計のほかにも、この世の中にはまだ別の色々な事のあることを、彼はこれまで知らずにいたのであった。したがってそれに附ける名が子供の言葉にはないのであった。
(「小波瀾」)
チェーホフ「カシタンカ・ねむい 他七篇」
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