2012-04-18

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……それにしても、わたしにとうていわからないこの東洋の歌が――しかも、盲目の下層の一人のうたったこのありふれた歌が、異邦人であるわたしの心に、これほど深い感動を呼びおこすのは、何故であろうか。おそらく、この歌い手の声のなかに、――民族の経験の総体よりもさらに大きな何ものかに――人類の生命のようにひろい、また善悪の知識のように古い何ものかに、うったえることのできる力があったのであろう。
(「門付け」)

『小泉八雲集』上田和夫訳

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